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2022.01.10コラム

コラム30:なぜ?…あえて「贈与税」の申告をした方がいいのか?

2022年1月、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
アパートのオーナー様のなかには、相続税の節税対策として、非課税枠110万円以内での「生前贈与」に励んでおられる方もいらっしゃると思います。
ただし、生前贈与はやり方を間違えるとかえって税金を払わないといけなくなる羽目にみまわれますので、十分に気を付けなければなりません。
そこで今回のコラムでは、「贈与税」「生前贈与」について気を付けなければならない事や、新たな豆知識を含めご紹介してまいります。


①贈与税の非課税枠110万円
まず基礎知識として、贈与税の非課税枠は110万円です。
例えば、妻やお子様への現金贈与が毎年110万円以内であれば、税務署への申告も納税も不要です。
豆知識として・・・本来、贈与税の基礎控除額は60万円までですが、現在は租税特別措置法(特別法)によって、110万円までとなっております。
今後・・・将来・・・税制改正で特別措置法の終了もありえる・・・基礎控除額が60万円までになる・・・それをリスク対策として念頭に置いておきましょう。


②相続税の節税対策として「生前贈与」(非課税枠110万円以内の贈与)を活用
まず前提条件として、相続税の納税を全く意識しない「生前贈与」であれば、無申告でぜんぜん構いません。
しかし、相続税の節税対策として「生前贈与」を活用しているのであれば、合法的な無申告よりも、あえて申告して贈与税を負担することをお勧めいたします。
税務署は「生前贈与」で貯めた預金額(無申告の贈与)をあえて把握しないようにしていますが、いざ相続が発生すると、これまで貯めてきた預金を「名義預金」(相続財産)とみなし、相続税として税徴収する準備をして待ち構えています。
せっかくの蓄えが、税徴収されてしまえば、これまでの節税対策も無に帰してしまいます。
なので「名義預金」とみなされない対策として、あえて贈与税の申告をお勧めいたします。


③税務署から「名義預金」とみなされない為の対策
「名義預金」とは何か・・・一例をあげると、口座名義はお子様だけれども実際は親が財産を管理していて、通帳は親が持っているケース。
このケースだと口座名義がお子様名義であったとしても、実は親の財産では・・・と、税務署はそれを生前贈与ではなく「名義預金」ではないのか・・・と疑ってかかり、ひとたび「名義預金」(相続財産)と認定されてしまえば、相続が発生した際、その相続財産とみなされた額に相続税を課税してくのです。
だからこそ、税務署から「名義預金」とは判断されないような「生前贈与」をしていく必要があります。

「名義預金」と判断されない為の対策として…
❶贈与であるという記録をキチンと残す。
❷贈与したという意思を「証拠力のある書面(贈与契約書等)」で示す。※「名義預金」と認定されないように対策する。
➌非課税枠110万円以内の贈与税の無申告では、贈与であったという証拠が残せないので、あえて贈与税の申告と納税をする。
❹贈与契約書を毎年締結する。
❺贈与契約書や贈与証書に確定日付(確定日付を公証人役場で付与してもらう)(この日付にあったという証拠スタンプ)を残す。
※贈与税の申告は楽。電子申請・郵送申請もオススメ。
※確定日付は公証人役場に行かなければならないので、正直・・・面倒くさいです。
上記の❶~❺のご自分にあった最適な対策することで、贈与したという証拠が残せます。

④110万円を少し超える金額で贈与、そして・・・あえて贈与税の申告をする
例えば、111万円を贈与した場合、贈与税は1,000円になります。
計算式:(贈与した額111万円-基礎控除110万円)×10%(最低税率)=1,000円(贈与税の納税額)
贈与が111万円であれば、贈与税はたった1,000円になります。
相続税節税対策の保険料(安心料)と思えば安いもの・・・ではないでしょうか。
※贈与額1,000円単位以下は切り捨てになるので、申告するのであれば、111万円以上の贈与額が必要です。110万1,000円では非課税枠内110万円とみなされます。


⑤「名義預金」と認定された判例
裁判で「名義預金」と認定された判例はたくさんあります。
一例をあげると・・・外部からの収入源が全く無い専業主婦なのに、口座にどんどんお金が貯まっている・・・税務署はそれは被相続人である夫の預金(相続財産)が移された「名義預金」ではないかと疑い調査を始めました。
すると、贈与契約書が交わされてない・・・これまで贈与税の申告が一度もない・・・事が判明し、裁判で争った結果「名義預金」と認定され相続税を徴収されたそうです。
税務署は、金融機関を通して預金を徹底的に調べることができますので、頭に入れておいてください。


⑥税務署は通帳の動きをチェックできる
今後、行政機関と金融機関をつなぐ(NTTデータの預貯金照会電子化サービス)「ピピットリンク」(オンライン回答)の普及で、素早く通帳の中身が調べられる時代になります。
※pipitLINQ(ピピットリンク)とは、行政機関から金融機関への預貯金の照会業務をオンライン化することで、システム処理が可能となり、事務処理等にかかる業務負担の軽減を可能にするサービスです。


以上、今回は「贈与税」「生前贈与」について、気を付けなければならない事や新たな豆知識について紹介いたしました。
今後も税務についての様々な豆知識を、当コラムを通して紹介してまいります。

弊社は、弁護士・税理士・司法書士等、専門アドバイザーとも提携(顧問契約)しております。
「贈与税」と「生前贈与」について、弊社顧問税理士による無料アドバイスも行っております。
ぜひともお気軽に弊社までご相談下さいませ。

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