2021.03.29Q&A
2:改正民法についてのQ&A PartⅡ
民法の一部を改正する法律が2017年5月26日に成立し、約120年ぶりに債権法が改正され、昨年の2020年4月1日から施行されました。
今回の改正民法による賃貸管理業務への影響はかなり大きいです。
今後もますます、改正民法の内容を深く理解することが必要になってまいります。
そこで今回のコラムでは、「改正民法について」弊社ライフコーポレーションの考えも含めた上でQ&A方式(PartⅡ)でご紹介してまいります。
【質問①】
連帯保証人から賃借人の債務の履行状況に関する情報の請求がありました。情報を開示してもよろしいのでしょうか?
【回答】
連帯保証人から賃借人の債務の履行状況に関する情報の請求があった場合、賃貸人は賃料等の滞納の有無・滞納額に関する情報を提供しなければなりません(情報提供義務)。
但し、連帯保証人を装う別人ではないか…など、正確な本人確認は必要です。
【質問②】
情報提供する債務の履行状況に関する情報とは、具体的には何でしょうか?
【回答】
賃料・共益費・更新料・遅延損害金・違約金・原状回復費用等の滞納の有無と滞納額が情報提供の対象となります。
【質問③】
債務の履行状況以外の情報の請求がありました。その請求に応える必要はありますでしょうか?
【回答】
個人情報保護の観点から、債務の履行状況以外の情報は、不用意に伝えなほうがいいでしょう。
【質問④】
法人が借主、その連帯保証人が個人になる事業用の賃貸借契約を締結しようとする場合、借主である法人は連帯保証人へ財務状況等を伝えなければならないのでしょうか?
【回答】
事業の為に賃貸借契約を締結する際、借主が個人に対して連帯保証を委託する場合、
➊財産及び収支の状況
❷債務の有無
❸債務額及び履行状況
などの情報提供をしなければなりません。
また、その法人が上場企業であり、決算が公開されているとしても、財産及び収支の状況について別途説明が必要でございます。
【質問⑤】
入居者にクリーニング費用を負担してもらうことは可能でしょうか?
【回答】
特例を定め説明のうえ賃貸借契約をしていれば、クリーニング費用を入居者に負担してもらうことは可能です。
【質問⑥】
物件内の設備に不具合や故障等が発生した際、賃料減額(一部滅失による賃料減額)をする必要があるとありますが、どのような状況でも減額が必要になるのでしょうか?
【回答】
物件内の設備に不具合や故障等が発生した場合、常に賃料減額の対象となるわけではありません。
照明器具の故障や居住を妨げない程度の建具の不具合等については、原則として賃料減額の対象にはなりません。
すなわち、賃料減額の対象となるためには、物件内の設備に不具合や故障等が発生しただけでなく、「通常の居住ができない状態に達していること」が必要とされます。
【質問⑦】
備え付けのエアコンが故障し、修理に1週間もかかりました。入居者から「寝苦しい夜を過ごした」と、賃料減額を求められました。対処法を教えて下さい?
【回答】
設備の故障により居住に支障が出ておりますので、賃料減額の対象になります。
金額については、賃貸人と賃借人とで協議して決めることが必要となります。
【質問⑧】
給湯器が故障し、修理に1週間もかかりました。この場合、銭湯代や銭湯までの交通費は賃貸人の負担になるのでしょうか?
【回答】
銭湯代実費やそこまでの交通費は賃貸人負担になります。
その代わりに、賃料減額で対応するのも選択肢の一つです。
【質問⑨】
雨漏りで天井クロスが少し雨染みしております。賃料減額の対象になるでしょうか?
【回答】
水が垂れてこない程度であれば、通常の居住ができない状態とはいえないので、賃料減額の対象外です。
ただし、水が垂れる程の雨漏りで、居住に支障が出てしまった場合は、賃料減額の対象となります。
【質問⑩】
修繕義務や賃料減額の対象の範囲はどこまででしょうか?
【回答】
修繕義務となる貸室設備(エアコン・給湯器等)は、重要事項説明書の「建物の設備の整備の状況」で明確にしておきましょう。
また、居室内の電球取替え、水道のパッキン取替え、その他費用が軽微な修繕等(シャワーカーテン等)は、賃借人が負担すべきものである旨を特約で定めることも有効です。
今回は「改正民法についてのQ&A PartⅡ」についてのご紹介でした。
弊社は、弁護士・税理士・司法書士等、専門アドバイザーとも提携(顧問契約)しております。
弊社管理物件の家主様は、弊社顧問弁護士への(初回)相談は無料ですので、ぜひ一度弊社までお気軽にお声掛けくださいませ。
株式会社ライフコーポレーションでは、業務のデジタル化を進めながら、コロナ禍の最中でも工夫した業務形態を進め、賃貸マンションの入居率向上に努めてまいります。
また、知識の向上、技術の向上、人間力向上など、人材育成も欠かさず進め、社会・地域・お客様にお役立てできるよう邁進して参ります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
※今回のコラム記事は、日管協が出版している「賃貸住宅クレーム・トラブルQ&A(vol.2)」から引用いたしました。わかりやすく表現するため、一部文章の書き換えも行っております。